自作小説を見てもらうブログ

自作小説を投稿するブログです

連鎖する依頼_11

「何で知ってるの」「ここ、私の家の近くなんだ。休めるところあるからおいで」 俺は黙って頷いた。「私、ユウリ。自分で歩ける?」 また、黙って頷いた。ユウリも頷いて、歩き出す。俺に合わせて歩いてくれた。5分くらい歩くと、ユウリが立ち止まった。何の…

連鎖する依頼_10

「おい」と聞こえたとき、びくっと体がはねた。油断していた。振り返ると、チョーカーをした男が立っていた。「どこに行くんだ。こんなにめちゃくちゃにしといて」 その問いかけには答えなかった。答える理由もなかった。「答えないなら殺す。答えても殺す」…

連鎖する依頼_9

首に噛みつかれる瞬間、目をつむった。何秒か待っても痛みが来なかった。目を開けた。目の前に黒い球体があった。俺の背丈くらいある。獣使いが目を見開いていた。「なんなんだね、それは」 俺は答えなかった。答えられなかった。そもそも、俺が出したものな…

連鎖する依頼_8

「いつの間に」 男が声を荒げる。 怒りが爆発した。男の腹に突然穴が開いた。自分の荒い息が聞こえる。 オキナの様子を見る。鼻に手をかざした。息をしていない。大量に出血していて、もう死んでいるのだろう。また、怒り。「くそっ」と叫ぶ。男の顔が消し飛…

連鎖する依頼_7

「危なかったね。どんな力をイメージしたんだい」「守る力が欲しかったんです。だから、防壁をイメージしました」 紅茶を一口啜った。温かい紅茶が体に染みるようで、少し落ち着く。俺たちはオキナの家に戻ってきていた。「防壁で木を破壊する…すごく危険な…

連鎖する依頼_6

「伏せろ」 その声のほうを見ると、若い男が近づいてくるのが見えた。突然、視界の隅に獣が躍り出て、反射的に体がびくっとなる。さっき消えた獣と同じ姿だった。獣が若い男に向かって走り出す。若い男は親指を立てて、人差し指を獣に向けた。人差し指の先か…

連鎖する依頼_5

やばい。そう思ったとき、視界は一転していた。 次に視界に入ってきたのは、学校の廊下だった。元の場所に戻ってきていた。でも、サチはいない。スマホを取り出す。ちゃんと使えた。教室に戻った。見知った顔が俺を一瞥する。教室のカレンダーを見ると、俺が…

連鎖する依頼_4

俺はリビングに足を踏み入れた。おじさんとおばさんの鼻に手をあてる。息が手にかからない。もう、死んでいるのかもしれない。リビングを歩き回る。懐かしい場所が血まみれになっている。ところどころ、獣の爪の跡のようなものが見える。しかも、でかい。な…

連鎖する依頼_3

曖昧に頷くと、女の子は顔をほころばせた。 「よかった」 俺の手を取る。顔が少し熱くなる。 「全然知らないところに連れてこられて困ってたんだ」 「知らないところなの?」 「ここがどこだか知ってるの?」 「ここ、俺の家の近くだよ」 「ならちょっとだけ…

連鎖する依頼_2

やっぱり、勘違いではなかった。おばさんはフィーチャーフォンをいじりながら歩いていて、前を見ていない。やっぱり、おばさんのことをつい見てしまう。目をそらして、反対側を見ると、さっきの女の子がこっちに歩いてくるのが見えた。その子も、フィーチャ…

連鎖する依頼_1

「あなたってとっても流行に敏感なのね」 とっても冷たい声が返ってきた。サチは机の上にあるペンや教科書をカバンの中にしまっている。目を合わせようとはしてくれない。 「で、その宇宙人がなにしたの」 「お、興味持った」 にやにやしながら言った。サチ…